借金問題

税金を滞納するとどうなる?差し押さえられた時の対処法や解除方法等を解説

会社にお勤めの方であれば毎月お給料から天引きされる所得税や住民税。国民には納税の義務があるため、税金は必ず支払わなくてはなりません。

毎月引かれる税金ですが、もし支払わなかったらどうなるのでしょうか?本記事では、税金を滞納するとどうなるのか、滞納した後に口座などを差し押さえられた場合どうすべきなのかについて、徹底解説いたします。税金を滞納してしまって悩んでいる方はもちろん、税金を滞納した場合の対処法について知っておきたい方はぜひ最後までご覧ください。

この記事の執筆した弁護士・弁理士 幸谷 泰造
事務所 市ヶ谷東法律事務所
所属 東京弁護士会
保有資格 弁護士(登録番号:47035)
弁理士(登録番号:21855)

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税金を滞納するとどうなる?

以下では、所得税や住民税などの税金を滞納するとどうなるのかを解説します。

税金の種類には大きく分けて国税と地方税がある

税金には大きく分けて、国税と地方税があります。国税とは国が徴収する税金、地方税とは地方公共団体が徴収する税金を指します。

国税には例えば所得税や消費税があります。地方税には例えば住民税、事業税、固定資産税などがあります。

国税か地方税かによって、税金を滞納した場合の取扱いが若干異なりますので、以下では国税と地方税に分けて説明します。

税金を滞納すると延滞金が発生する

税金を期限までに支払わない場合、延滞金が発生します。国税の場合、期限を過ぎてから2か月までは3%程度、2か月を超えると一気に上がり9%程度になります。

一方、地方税の場合、期限を過ぎてから1か月までは3%程度、2か月を超えると9%程度になります。

税金を滞納し続けると延滞金が発生し続けるため、早めに支払わないと大変なことになります。

督促状が送られてくる

税金を支払わないと督促状が送られてきます。

国税については納付期限後50日以内に、地方税については納付期限後20日以内に督促状が送られてくることになっています。

財産の差押え

督促状が発送された日から10日経っても税金を支払わない場合、財産が差し押さえられてしまう状態となります。

10日経ったら必ずその日に財産が差し押さえられるというわけではありませんが、10日経つと理論上はいつでも財産が差し押さえられる状態になります。

差押え対象の財産は、不動産や車などの高価な財産だけでなく、銀行の預金口座や給料なども差押えの対象となります。不動産や車などの高価な財産を持っていないから大丈夫、と思って税金を支払わないと、給料や口座を差し押さえられてしまいますので注意しましょう。

財産を差し押さえられると税金の支払いに充当される

財産を差し押さえられてしまうと、その差し押さえられた財産は税金の支払いへ充当されることとなります。

不動産や車の場合、差押えがされるとその後競売にかけられ、売却代金が税金の支払いへ充当されることになります。

預金が差し押さえられると、差し押さえられた金額については口座から引き出すことができなくなります。差し押さえられた金額については税金の支払いへ充当されることになります。

税金を滞納している場合の対処法

税金を滞納すると、最終的には財産が差し押さえられてしまうことになります。では、督促状が届いてしまった場合や財産が差し押さえられてしまった場合、対処法はあるのでしょうか。以下では、督促状が届いた段階の対処法や、財産が差し押さえられてしまった場合の対処法を解説します。

督促状が届いた場合

督促状が届いた段階では、まだ財産は差し押さえられていません。しかし、そのまま放置しているといずれ財産が差し押さえられてしまいますので、督促状が届いた段階でできる限り速やかに以下の対処法を実践してください。

税務署に相談する

督促状が届いた後、何も対処せず放置していると、税金を支払う意思がないものとみなされ差押えがされてしまいます。よって、財産が差し押さえられないうちに税務署に相談するようにしましょう。地方税であればお住まいの地区の市役所や区役所の税金窓口へ相談に行ってください。

税務署や役所は、滞納者が相談に訪れれば相談に乗ってくれます。必ずしも希望に沿って対処してくれるとは限りませんが、何もせずに放置するよりは差押えを回避できる確率は高まるでしょう。

分割納付制度や猶予制度を利用する

税金を一括で納めることが難しい事情がある場合には、税金の分割納付制度や猶予制度を利用することができます。税金が支払えないからといって放置することはせず、分割納付制度や猶予制度を利用することができるかを検討するようにしましょう。

ただし、分割納付制度や猶予制度を利用するには、一括で納めることが難しい事情が考慮されることになりますので、必ず制度を利用できるわけではない点には留意しましょう。

税金以外の債務を債務整理する

税金が支払えない場合、自己破産してしまえばいいのでは?と考えた方もいるかもしれません。しかし、税金は自己破産しても免責にはならず、自己破産後も依然として支払わなければならないのです。

そうすると債務整理をしても意味がないのではないか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、税金以外の債務の支払いがあって、その支払いのために税金の支払いまで手が回らないという場合は、税金以外の債務を債務整理する方法が考えられます。税金以外の債務を債務整理できれば、税金を支払うだけの余裕が出るからです。

債務整理には、①任意整理、②個人再生、③自己破産の3種類の方法がありますが、借金の状況によってどの方法を選択すべきかは異なってきますので、弁護士や司法書士等の専門家に相談してみましょう。

財産を差し押さえられた場合

督促状が届いたにもかかわらず税金を支払わないと、最終的には財産が差し押さえられてしまうことになります。財産が差し押さえられてしまった場合、以下の方法をとることができます。

延滞金を含めて全額を納める

滞納している税金について、延滞金を含めて全額を支払うことによって差押えを解除することができます。差押えを解除するためにはこの方法が一番確実ではありますが、実際は支払う余裕がないから税金を滞納してしまっている場合が多いと思いますので、この方法をとることができない方のほうが多いと思われます。

税務署や役所に相談する

財産が差し押さえられてしまった場合、税務署や役所に相談することができます。相談をしたから必ず差押えを解除してくれるわけではありませんが、場合によっては分割で納付することを条件として差押えを解除してくれたりすることもあります。

マイホームを差し押さえられて困ってしまった等の場合には、税務署や役所に相談してみるのもよいでしょう。

滞納処分の停止や不服を申し立てる

例えば、給料を差し押さえられてしまった場合に生活が著しく窮迫するおそれがある場合には、滞納処分の停止を申し立てることができます。また、差押えに対しては国税不服審判所に対し、不服申立てを行うこともできます。

ただし、これらの申立ては簡単に認められるわけではないため、相当の理由が必要となる点は理解しておきましょう。

まとめ

税金を滞納するとどうなってしまうのか、そして滞納後に財産を差し押さえられてしまった場合の対処法について解説しました。

銀行や消費者金融からの借金と異なり、税金は自己破産等の債務整理によっても支払いを免責されることはないですし、課税の公平のため滞納している者に対しては容赦なく差押えが待っています。

そうならないためにも、税金の支払いは放置しないことが肝心です。支払えない場合は税務署や役所に早めに相談するようにしましょう。

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この記事の監修者 山口学
事務所 株式会社トイント
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