過払い金を請求すると、今まで払い過ぎたお金が戻ってきます。しかし、相応のリスクは避けられません。過払い金請求をした会社と同じグループからは、ローンの審査やクレジットカード作成ができなくなってしまいます。
借金を返し終わっていないのに過払い金を請求してしまうと、ブラックリスト入りしてしまう可能性もあります。ブラックリスト入りは長年にわたって悪影響が出てしまうので、過払い金請求のタイミングは慎重に選ばなければいけません。
過払い金請求を検討している人のために、過払い金を請求できる条件や、リスクなどについて紹介します。これらの内容を知っておけば、過払い金請求をする際の心配がなくなるので、ぜひ目を通してください。
- 過払い金請求をしても、ローンには影響がでない
- 過払い金請求によって、必ずブラックリスト入りするわけではない
- 過払い金請求した会社からは、社内ブラックとして登録される
- 過払い金請求すると手元に戻ってくるまで半年~1年かかる
- 過払い金が発生するのは、2010年以前のキャッシング取引のみ
過払い金請求するとローンが組めない?
結論から言うと、過払い金請求をした会社と同じグループでなければ、ローンが組めなくなることはありません。住宅ローンやマイカーローンの審査をする際に、過払い金請求の有無は確認されないからです。
また、住宅ローンやマイカーローンはキャッシング取引ではないことと、金利がそこまで高くないことから、過払い金自体発生しません。そのため、これらのローンに対して過払い金請求をおこなう必要性もないです。(リボ払いに過払い金は発生するの?)
また、過払い金請求をすると、必ずブラックリストにのるとは限りません。ブラックリスト入りする条件は、返済中の借金に対して過払い金請求をおこない、なおかつ請求後も借金が残っている場合のみです。
- 過払い金請求は、ローンに影響しない
- 住宅ローンやマイカーローンに対して、過払い金は発生しない
- 過払い金請求をしても、必ずブラックリスト入りするとは限らない
過払い金請求しても住宅ローンは組める
過払い金の請求は、債務整理などと違って情報が残りません。そのため、過払い金請求の後に住宅ローンの申込みをしても、問題なく審査には通ります。過払い金請求が、ローン審査に悪影響を与えることはありません。
また、住宅ローンはキャッシング取引ではないため、過払い金は発生しません。住宅ローンに対して過払い金請求をしないことからも、住宅ローンと過払い金請求に直接の関係がないと言えます。
ただし、過払い金請求の結果としてブラックリスト入りしてしまった場合は話が別です。信用情報機関に事故情報が登録されるため、住宅ローンの審査に落ちてしまう可能性があります。
- 住宅ローンと過払い金請求に直接的な関係はない
- 住宅ローンに過払い金請求するケースも存在しない
- 過払い金請求でブラックリスト入りした場合は、住宅ローンの審査に落ちる可能性がある
過払い金請求してもマイカーローンは組める
住宅ローンと同様、マイカーローンも過払い金請求による影響はありません。過払い金請求をおこなっても、問題なくマイカーローンが組めます。
また、マイカーローンは総じて利率が高くないため、過払い金は発生しません。したがって、マイカーローンに対しても過払い金の請求をするケースはないです。
1つだけ注意点として、過払い金の請求をした会社には、過払い金請求の記録が残っています。そのため、過払い金請求をした会社にマイカーローンを申し込むと、審査落ちする可能性があるため気をつけてください。
- 過払い金請求をしても、マイカーローンに直接的な影響はない
- マイカーローンに過払い金が発生することもない
- 過払い金請求した会社にマイカーローンを申し込むと、審査落ちする可能性がある
過払い金を請求してもブラックリストにはのらない
勘違いされやすいですが、過払い金を請求しても必ずブラックリストにのるわけではありません。過払い金請求をしてブラックリストにのる条件は、「返済途中の借金に過払い金請求をおこない、なおかつ過払い金を引いても返済残高が残っている」場合だけです。
たとえば、現在100万円借入残高が残っている金融会社に過払い金請求をおこない、80万円の過払い金が発生したとします。この場合、過払い金は返済に充てられ、それでも20万円残ってしまいます。すると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうのです。
もし同じ条件で過払い金が120万円あった場合、返済残高がなくなるためブラックリスト入りはしません。また、完済している借金に対して過払い金請求をおこなった場合でも、同じくブラックリスト入りを回避できます。
- 過払い金を請求しても、ブラックリストにのるとは限らない
- ブラックリスト入りするのは、返済前に過払い金請求をして、なおかつ残高が残ってしまった場合
- 完済した借金は、過払い金請求をしてもブラックリストにのらない
過払い金請求した時のリスク・デメリット
過払い金の請求をおこなった場合、今後そのグループ会社を利用できなくなる可能性があります。社内の独自情報に過払い金の請求をされたことが記録として残るため、要注意人物として扱われてしまうからです。
また、返済中の借金に過払い金請求をして、借金をゼロにできなければブラックリスト入りする危険性もあります。過払い金はいくら戻ってくるのかが不明瞭なため、お金が得られるからと安易に過払い金請求をするのは危険です。
さらに、過払い金請求には時間がかかるうえ、依頼した際の手数料などが引かれることから、全額戻ってくるわけでもありません。このように、過払い金請求はただお金が戻ってくるだけの制度ではなく、それなりにリスクがあることが分かります。
- 過払い金請求をしたグループ会社は今後利用できなくなる
- 返済途中に過払い金請求をすると、ブラックリスト入りする危険がある
- 過払い金はすぐに全額返ってくるわけではない
過払い金請求をした金融機関の保証会社とローンの保証会社が同じ場合には注意が必要
過払い金請求の記録は、事故情報に登録されません。しかし、保証会社の独自データベースには、過払い金請求をおこなった人物として記録されます。そのため、今後同じ保証会社の管轄からの利用を制限されてしまう可能性が高いです。
たとえば融資の際に断られてしまったり、ローンを組めなくなったりするケースが挙げられます。さらに、賃貸アパートを借りる際の審査にも悪影響を及ぼす可能性があるため、今後の行動が非常に制限されてしまいます。
もちろん、これらはほかの保証会社の管轄で借りればまったく問題ありません。ただし、無関係だと思っていたところが実はグループ会社だった、というケースもあるため、過払い金請求をした後の借入やローン審査は、慎重に相手を選ぶ必要があります。
- 過払い金請求した保証会社からは借りられない
- ローンや賃貸の審査にも影響がでる
- 別の保証会社なら問題なく利用できる
過払い金請求をした同じグループ会社のクレジットカードは使えない
過払い金請求をしたグループ会社からは、今後クレジットカードが作れなくなってしまいます。グループ内で過払い金請求をした情報が共有されてしまい、要注意人物とみなされてしまうからです。
この状態はいわゆる社内ブラックとも呼ばれ、法的拘束力こそありませんが、社内で独自に審査を落とすためのリストとして活用されます。公的な記録ではない分、時間経過で消えることもありません。
また、新規登録だけでなく、現在使用しているクレジットカードも使えなくなってしまいます。グループ会社のクレジットカードを複数持っていた場合、まとめて使用できなくなってしまうため、注意してください。
- 過払い金請求をしたグループ会社からは、社内ブラックリストに登録される
- 社内ブラックにのると、クレジットカードの利用や新規登録ができなくなる
- 同じグループ会社の場合、複数枚のクレジットカードがまとめて使えなくなるリスクがある
過払い金請求後、借金が0円にならなかったら債務整理なのでブラックリストにのる
現在返済中の借金に過払い金請求をおこなう場合、返済金額と残高はしっかり把握してください。万が一過払い金請求をしても残高が残ってしまった場合、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆるブラックリスト入りしてしまうからです。
ブラックリストにのってしまうと、あらゆるローンや借金、賃貸契約などの審査に悪影響を及ぼします。また、クレジットカードの作成も長期間できなくなるため、日常生活にも大きな不便を強いられる可能性が高いです。
過払い金請求によるブラックリスト入りは、借金の完済が終わってから5年間継続します。ブラックリスト入りは長期にわたって影響がでるうえに、期間の短縮もできません。返済中の借金に過払い金請求をおこなう場合は、このリスクを必ず考慮したうえで検討する必要があります。
- 返済中の借金に過払い金請求をすると、ブラックリスト入りするリスクがある
- ブラックリスト入りすると、ローンや借金の審査に通らなくなってしまう
- ブラックリストは、借金の完済から5年程度記録が残り続ける
過払い金が戻ってくるまでに時間がかかる
過払い金を請求してから実際に手元に戻ってくるまでには、およそ2~3か月かかります。弁護士に依頼するところから換算すると、最大で半年近く時間がかかるケースも珍しくありません。
しかも、これは相手が素直に応じた場合です。和解にならず訴訟にまで発展した場合は、さらに半年~1年ほど時間がかかってしまいます。つまり、過払い金を請求してもすぐにお金が手元に戻ってくるわけではないのです。
依頼から過払い金を請求までも時間がかかるうえに、どれだけ早く戻ってくるかは相手依存になってしまうため、早急にお金を用意するための手段としては使えません。過払い金請求は、ある程度余裕をもっておこなうことが大切です。
- 過払い金請求は、依頼から3か月~半年ほど時間がかかる
- 相手が和解に応じなければ、最大で1年ほどかかるケースもある
- どうじても時間がかかるため、すぐにお金を用意する手段としては不適切
過払い金が全額返済されるわけではない
過払い金請求は、発生した過払い金がそのまま戻ってくるわけではありません。賃貸業者との交渉によって返還率が変わってくるため、必ずしも全額返還できないケースは多々あります。
また、弁護士や司法書士に依頼していた場合は、返還された過払い金の何割かは手数料として支払います。最終的に手元に残るお金は、本来発生した過払い金の4~6割程度になるケースが多いです。
過払い金請求に慣れている業者ほど、交渉によって返還率を下げようとしてきます。少しでも多く取り戻すためには相応の時間がかかるため、すぐにお金が欲しいからと交渉を妥協することのないようにしてください。
- 過払い金は、全額手元に残るとは限らない
- 交渉によって返還率が減ったり、弁護士の手数料として持っていかれる
- 少しでも多く返還してもらうためには、時間をかけて交渉する必要がある
過払い金請求できる条件
過払い金が発生するのは、グレーゾーン金利で借りていた場合のみです。したがって、グレーゾーン金利が発生していた2010年以降の取引では、そもそも過払い金は発生しません。
また、過払い金には10年の時効が定められています。完済後10年以内に過払い金請求をおこなわないと、時効になってお金を取り戻せなくなるので注意してください。
さらに、過払い金が発生するのは金利の高いキャッシング取引に限定されます。そもそも金利の低い住宅ローンやマイカーローンの場合は、過払い金が発生しません。
- 過払い金が発生するのは、2010年以前の取引に限られる
- 完済から10年経過すると、時効で過払い金が取り戻せない
- 住宅ローンやマイカーローンは、金利が低く過払い金が発生しない
2010年以前に借り入れをしていた
過払い金が発生するのは、グレーゾーン金利と呼ばれる年20~29.2%の金利が原因です。以前は出資法の定める上限である29.2%での貸付が横行していました。しかし現在では、賃金業法などの改正により、グレーゾーン金利による貸付は存在しません。
グレーゾーン金利が完全に撤廃されたのは、改正賃金業法が施行された2010年6月18日です。つまり、これ以降に借りたお金に関しては、過払い金が発生しません。
過払い金の請求が可能なのは、2010年以前に結んだキャッシング取引に限られます。また、2010年以前の借入だとしても、業者がグレーゾーン金利で貸し付けをおこなっていない可能性はあるため、必ずしも過払い金が発生するとは限りません。
- 過払い金が発生する原因は、グレーゾーン金利で借金をしているから
- グレーゾーン金利が発生するのは、2010年以前の取引のみ
- 業者によっては、グレーゾーン金利で貸し付けしていないケースもある
完済後10年の時効を過ぎていない
過払い金には、時効があります。時効の成立条件は「最後の取引から10年経過」または「過払い金請求が可能なことを知ってから5年経過」することです。
たとえば、2005年1月1日に完済した借金の過払い金は、2015年1月1日に時効になってしまいます。また、場合によっては一度完済しても、同じ会社で連続して借入をしていれば、連続した1つの取引として判断され、時効が伸びるケースもあります。
時効が成立してしまえば、過払い金を取り戻す方法はありません。過払い金請求をおこなうなら、時効になっていないかを確認したうえで、一刻も早くおこなうことが大切です。
- 過払い金は、完済から10年経つと時効になる
- 完済済みでも、同じ会社から再度借りていれば連続した取引として認められるケースがある
- 時効が成立したら、過払い金を取り戻す方法はない
住宅ローンやマイカーローンに過払い金は発生しない
過払い金が発生するのは、グレーゾーン金利である20~29.2%の金利が設定されている場合のみです。これだけ高金利の貸付がおこなわれるのは、キャッシング取引が多いです。
一方、住宅ローンやマイカーローンの金利は、せいぜい1~2%程度です。そもそも設定されている金利が低いため、過払い金が発生するグレーゾーン金利に到達することはないです。
このことから、2010年以前の取引だったとしても、住宅ローンやマイカーローンで過払い金は発生しません。過払い金請求をする際は、キャッシング取引に絞ってください。
- 過払い金は、住宅ローンやマイカーローンだと発生しない
- 住宅ローンやマイカーローンは低金利なので、グレーゾーン金利に届かない
- 過払い請求をする際は、キャッシング取引に絞る