昨今、ニュース等でもしきりに触れられることが多い「投資」ですが、投資の方法の一つとしてFXが挙げられます。
ところが、このFXが原因で借金をしてしまう方も多くいらっしゃり、リーマン・ショックと呼ばれる不景気のときにはFXが原因で借金・自己破産をした人が大量に発生し、社会問題化しました。
どのような人がFXで借金を作ってしまうのでしょうか?
このページではFXで借金をしてしまう人と、これを防ぐ方法、借金が返せなくなったときの対応方法についてお伝えします。
- FXで儲かる・損するのは相場変動による差益・差損に基づくもの
- FXで借金をする理由は追証と証拠金入金のための借金
- FXで借金をする人の特徴はビギナーズラックで調子に乗ってしまった・感情に流されやすい・他のギャンブルもする人
- FXで借金を返済できなくなったときには債務整理は可能
- FXが原因で借金を作って自己破産をする場合には免責不許可事由にあたり注意が必要
FXで利益が出る・損失が出る仕組み
投資の方法にもいろいろとある中で、株式よりも大きな利益を挙げられるのがFXだといわれています。
では、そもそもFXとはどのようなものなのでしょうか?
そして、FXではどのようにして利益がもたられ、一方損失が発生するのでしょうか。
FXとは
FXとは、外国為替証拠金取引のことをいいます。
FXという名称は、外国為替の英語訳である(Foreign eXchange)の頭文字をとったもので、外国ではForexという呼び方もされています。
よく1ドル○○円というニュースを目にしますが、外国為替は取引所を通じて日々取引が行われており、相場が変動します。
FXは、特定の国の通貨について投資を行い、その相場の差益によって利益を得る投資の方法です。
通貨の購入・売却は特定の通貨とペアで行われます。
例えば、ドルを購入するときに、何かしらの通貨を売ってドルを購入することになります。
円を売ってドルを購入した場合の相場はドル/円(USD/JPY)をロング(購入)することで、ユーロを売ってドルを購入する場合は(EUR/USD)をショート(売却)することで行います。
FXで利益が出る仕組み
FXで利益が出る仕組みは、購入した通貨の価値が上がる、売却した通貨の価値が下がる、ことに基づきます。
つまり、ドル/円を購入(円を売却)した場合、購入した時よりもドルの価値が高まり、円の価値が下がると、差益ができます。
この差益が利益となります。
例えば、1ドル130円のときに購入し、ドルの価値が上がり1ドル135円となると、5円分の差益が発生します。
この差益が利益となります。
FXは証拠金取引で、実際には1万通貨単位以上で購入することになるので、5円もの値上がりがあると5万円以上の差益となることになります。
一方で、売る方の取引についても同様で、ユーロ/ドル(EUR/USD)の取引の場合に、売却(ドルを買ってユーロを売る)取引をして、同じくドルの価値が上がる(=ユーロの価値が下がる)と、この場合も差益が発生し、利益となります。
株式のように銘柄について価格が上がる・下がるというだけではなく、一方の価値が上がる・下がることで他方の価値が下がる・上がるという側面をもっているので、最初は理解が難しいかもしれません。
FXで損失が出る仕組み
FXは投資なので利益が出れば損失も発生します。
購入した通貨の価値が下がった場合、差損が発生します。
例えば、1ドル130円のときにドル/円(USD/JPY)を購入して、1ドル125円に下がったとしましょう。
この場合には、1ドルにつき5円の差損が発生しています。
このように差損が発生した場合は損失になります。
単純な計算をしていますが、実際にはスプレッドと呼ばれる買い相場と売り相場の違いや、取引に手数料がかかる場合もあり、その分も損失として含まれます。
同じように、通貨を売却した場合に、その通貨が値上がりしたときも、差損が発生し損失となります。
FXで借金をしてしまうのはなぜ?
FXの投資でどのように利益・損失が発生するのがわかったのですが、ではどうしてFXをしていて借金をしてしまうのでしょうか。
FXによって借金が発生する理由には次の2つがあります。
それぞれ詳しく確認しましょう。
追証が発生するから
FXで借金をした場合に借金をする原因の一つは、大きな損失が発生したときに追証が発生することです。
「追証(おいしょう)」とは、追加証拠金の略称をいい、損失が大きく発生したときに入金する義務がある金銭のことをいいます。
日本では25倍までのレバレッジと呼ばれる信用取引を行うことが可能です。
これを利用した場合、多額の利益を上げることが可能ですが、一方で多額の損失を被ることになります。
多額の損失を被ったことで、証拠金が不足した場合、証拠金の入金をしなければならなくなります。
この金銭の支払い義務は、FXの会社にお金を借りて取引をしていたものと同様で、あたかも借金のように返済する義務があるといえるのです。
リーマン・ショックと呼ばれる不景気を引き起こしたときには、国内のFXの会社のレバレッジは1000倍を超えていたこともあり、ケースによっては数千万・億という単位の追証の負担をする必要がある人が多発し、自己破産する人が激増したという社会問題となりました。
証拠金を入金するために借金をする
FXで借金をする原因の2つ目は、証拠金を入金するために借金をすることです。
FXを始めるためには、最初に証拠金を入金する必要があります。
FXで一攫千金を夢見て借金をして取引を始めるも、必ず利益が出る取引ではないので、損失を被ることもあります。
その結果、追証と併せて証拠金の入金のために借りた借金の支払いもしなければならないということになるのです。
FXで借金地獄に陥ってしまう人の特徴
以上のようにFXで借金をする原因は2つのパターンなのですが、これらのパターンに陥って借金をしやすい人もいます。
どのような人がFXで借金をしやすいのでしょうか。
その傾向を確認しましょう。
ビギナーズラックで大きく利益を出したことがある
以上のことを踏まえて、FXで借金を作ってしまいがちな人として、いわゆるビギナーズラックで大きく利益を出したことがある人が、つい調子に乗って借金を作ることがあります。
ビギナーズラックとは、特に知識もなく始めて、たまたま大きな利益を出してしまうことです。
FXは経験のある人でも必ず利益を上げ続けるばかりではないので、逆に初心者でも大きな利益を上げることもあります。
ビギナーズラックで利益を得た初心者が、ついつい調子に乗ってしまい、大きなレバレッジで取引をする、借金をして証拠金を増やすなどして、損失を出したときに借金だけが残ることがあります。
ついつい感情に流されてしまいがちである
FXで借金をしやすい人の特徴の2つ目として、ついつい感情に流されてしまいがちである人です。
FXで特に短期的な取引を繰り返す人が陥りがちなのが、大きな損失を出したときにすぐに損切りをすることができないという失敗です。
1分足・5分足のチャートなど短い期間の取引の傾向を見ていると、上がりそうな場合でも、より長い期間の考察をすると下がり続けるケースがあります。
短期間の取引を繰り返す場合に、大きな傾向を見ずに短い時間の傾向のみで取引をしてしまい、一度損失を出し始めると「いずれ戻ってくるだろう」と考えて損失を出したまま放置してしまいます。
その結果、相場が自分の意図する方向と反対の方向に動き続けて、強制的に損切させられる水準になってしまい、追証の負債をかかえることになります。
また、負けたことに向きになって「なんとか取り返さなければ」と借金をして証拠金を追加するようなことがあると、さらに借金が大きくなるでしょう。
パチンコや競馬などのギャンブルもやる
最後にFXで借金をしやすい人の特徴として、パチンコや競馬などのギャンブルもやる人が挙げられます。
FXは上述した通りどうしても早めの損切のタイミングを習得したり、負けたときにカッとなって追加で入金しない姿勢が必要です。
パチンコや競馬を常にやっている人の多くは、引き際を見極めることができず、損失を増やしがちです。
また大きな損失を出したときに、借金をして損失を取り戻そうとしがちです。
FXで作った借金が返せない時の対応方法
FXで借金をしやすい人の中には、さらにすすんで返済できないほどの借金を抱えてしまう方もいらっしゃいます。
借金が返済できなくなった場合に、借金問題を解決するのに、どのような方法があるのかを確認してみましょう。
夜逃げをしても解決にはならない
一番最悪な選択肢が夜逃げであることを知っておいてください。(借金の踏み倒し成功?リスクや末路・逃げ切れない理由など解説)
借金があるからといって、従来住んでいるところから引っ越して、新しいところで生活を始めても、住民票を移動させれば戸籍の附票などで確認が可能です。
訴訟をするなどの正当な理由がある場合には追跡が可能で、意味がありません。
一方で、住民票を移さずに従来の住所を立ち去ってそのままにしていても、新しい住所で仕事を探す際に住民票を提出したりマイナンバーを示すことができないなど生活に支障をきたします。
水商売などではこれらがなくても働けることがあるのですが、従来の住所の住民登録が、住んでいないと確認されると消去されるため、健康保険証の期限が切れると自費診療しかできなくなります。
一方、このような不利益を被りつつも、借金や追証の支払い義務が時効になることを待っても、債権者が訴訟をするなどして時効の更新の措置をとると、支払い義務は免れません。
夜逃げは不利益が多く意味のない行動であるといえます。
借り換え・おまとめローンは審査が厳しい
消費者金融や信販会社から借金をした場合、利率が高いので利息の負担が多いです。
そのため、利率が低い銀行の借り換えローンを利用したり、おまとめローンの利用を考えるでしょう。
借り換えとは、利率の低い銀行のローンから借り入れをして、従来の利率の高い消費者金融や信販会社への返済をしてしまうことで、利率の低い銀行に返済をするものです。
おまとめローンとは、利率の低い銀行から借り入れをして、複数の消費者金融や信販会社への返済をしてしまって、利率の低い銀行に返済をするものです。
利率が下がるので返済が楽になる効果があるのですが、銀行からの借り入れになるので審査が非常に厳しく、利用できる人は稀です。
親族・友人に立て替えてもらって返済をする
親族・友人などに立て替えてもらって返済をする方法も検討しましょう。
消費者金融や信販会社・銀行のローンについては必ず期日に利息をつけて毎月返済しなければならず、1日でも遅れると遅延損害金が付されます。
親族や友人に一旦立て替えてもらって、その親族や友人に無利息で返済をすれば、利息や遅延損害金の負担がなく、また返済が厳しい場合でも猶予をもらったりすることもできます。
ケースによってはFXで借金を作ったことを打ち明けなければならないのはいうまでもありませんし、何百万円も借金を作ってしまっている場合に助けてくれる親族・友人がいることは稀です。
債務整理をする
借り換えやおまとめローンの審査も厳しく、借り入れをできる親族・友人もいない(居てもFXで借金を作ったとは言いづらい)場合には、単独で対策をする必要があります。
借金の返済ができない場合には債務整理をすることになります。
債務整理というと自己破産とイコールに考える方も多いのですが、自己破産のほかにも利息と遅延損害金をカットして元金を分割払いにしてもらう任意整理、借金を最大1/10に減額してもらって分割払いにしてもらう個人再生という手続きもあります。
FXで借金を作った場合の債務整理の注意点
FXでうまくいかず、借金が大きくなった場合には自分ではもうどうすることもできなくなってしまいます。このような場合には債務整理も選択肢に入ってきます。
FXで借金をした場合の債務整理について、何か問題になるようなことはあるのでしょうか。
FXで借金を作ったようないわば自業自得でも債務整理は可能
まず、そもそもFXで借金を作ったような、いわば「自業自得」といえるような状況でも債務整理はできるのかが気になるのですが、結論から言うとFXで借金を作った場合でも債務整理は可能です。
この点について、債務整理のうち任意整理・個人再生については借り入れをした原因は問われませんので、借金の原因がFXであることは特に問題になりません。
自己破産においては後述するように免責不許可事由となるのですが、裁量免責という方法で免責をしてもらうことは可能となっています。
諦めずに債務整理手続きを利用するようにしてください。
ローンの契約期間が短い場合には任意整理ができないことがある
任意整理の場合に注意が必要なのが、ローンの契約期間が短い場合には任意整理ができないことがある点です。
任意整理は通常、貸金業者と弁護士・司法書士が交渉をして、元金のみの分割払いにしてもらうもので、元金の分割回数は36回~60回(3年から5年)となっています。
しかし、借り入れの期間が短いような場合(3ヶ月から概ね1年未満)には、元金の長期分割は認められず、長くて12回(31年)程度しか認めてもらえず、事実上任意整理をするのが難しいことが多いです。
たとえばFXをするために急にお金を大量に借りた上で、負けてしまって追証まで発生して、早速支払いできなくなったような場合、任意整理で長期分割とできないことに注意しましょう。
自己破産をする際には免責不許可事由となる
自己破産は、やむにやまれず返済ができなくなる程度の債務を抱えた場合に利用できるようになっています。
そのため、ギャンブルや浪費などの事情がある場合には、免責不許可事由とされています(破産法252条1項各号)。
免責不許可事由に該当すると、法律の規定だけでは債務を免責することができません。
ただし、破産法252条2項で、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮し免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができるとしています。
この裁判所の許可によってする免責のことを裁量免責と呼んでいます。
自己破産手続きの中できちんと反省していることを示すために、真摯に手続きに取り組めば、仮にFXで借金を作ったようなケースでも裁量免責は認められます。
ただし、この裁量免責をしてもらうために、少額管財という管財人が調査をする手続きを利用する必要があり、東京地方裁判所管轄で20万円以上の追加の費用が必要になることがあるので注意が必要です。
どの手続を利用するかは借金の額と収入の状況による
上述した通り、債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生の3つの種類があります。
この3つの手続きのどの手続を利用するかは、借金の総額と収入の状況によって、人ごとに考えることになります。
どんなに「自己破産はしたくない」と任意整理や個人再生を希望していても、収入が無い状況では任意整理では返済ができないので利用できません。
依頼をする弁護士・司法書士とどの手続によって解決をするか、よく相談して選択しましょう。
FXで失敗して借金を作らないための回避方法
一方これからFXをはじめる場合、借金をしないためにはどのようなことに心がければ良いのでしょうか。
お金を大きくしたいという目的ばかりに目がいって、失敗した時のことは考えにくいかもしれません。儲けることもできれば一番良いですが、負けた時のことも想定をしておく必要があります。
大きく失敗してしまわないために、前もって自分の中で決まり事を持っておくとよいのかもしれません。
大きな損失を出さないためのルールづくり
大きな損失を出さないためのルールづくりを行いましょう。
決済をするまでは強制的に損切となるまでは含み損のまま購入・売却した状態にしておくことは可能です。
全体的にドル高の局面で、短期的にドル安になると考えてドルを売った場合で、そのままドル高に流れが傾いてしまうと、決済できずに大きな損失を出してしまうことが多いです。
一定以上の損失を出したときには損切をするというルールを決めておくのは、大きな損失を出さないために重要であるといえます。
また、そのルールをストップロスという、一定の金額になった場合に自動で損切をするシステムに反映することで、カッとして長期間保有してしまうことを防げます。
FXは収入の範囲で利用する
FXは収入の範囲で行い、借金をしてまでしないようにしましょう。
FXは最初に証拠金を入金しないと取引ができません。
この証拠金の入金を借金して行うと、大きな損失を出したときに、借金の返済と追証の返済の両方が加わることになります。
急な借金で返済不能になった場合には、上述したように債務整理の手続きの幅も狭まるので、あくまで収入の範囲で無理なく行うようにしましょう。
海外のゼロカットシステムのある会社を利用する
海外のFX会社では、損失を出しても証拠金の範囲でしか損失を負担しない、ゼロカットシステムというものがあります。
そのため、大きな損失を負ったとしても、基本的には証拠金が無くなるだけで、追証は発生しません(例外的にあまりに投機的な取引をする際に発生することもあるようです)。
ただし、日本とは異なり海外のFXの会社は1000倍のレバレッジのある取引が通常で、証拠金すらあっという間に無くなってしまうこともあるので注意しましょう。
レバレッジをかけすぎない
レバレッジをかけすぎないようにしましょう。
日本国内では最大25倍までのレバレッジをかけることができ、海外のFXだと1000倍ものレバレッジをかけられます。
レバレッジをかけるとより多くの利益を得ることが可能なのですが、一方でより多くの損失を被ることもあります。
なるべくレバレッジをかけないで、大きな損失を出さないようにしましょう。
オーバーナイト・土日を挟む取引をしない
FXは土日を除いて24時間取引が可能です。
そのため、夜間の寝る前に取引をして、時間が経って起きたときに利益が出ているという可能性もあります。
しかし、寝ているときに何らかの相場に大きな影響を与える事象が急に発生したときに、急に損切りをすることができないこともあります。
また、土日は取引ができなくなるのですが、土日の間に同じく相場に大きな影響を与える事象が急に発生すると、取引できるようになったときに急にアクセスが殺到し、損失が出てしまうこともあります。
オーバーバイト(寝ている間の取引)、土日を挟む取引をしないようにしましょう。
新興国通貨など値動きが激しい通貨や仮想通貨・先物取引などへの投資は慎重に
通貨といってもいろいろな種類があります。
ドル・ユーロ・円のような取引量の多い通貨のペアについては、値動きが比較的予想しやすい上に、相場の動きは比較的おだやかです。
しかし、メジャーなものの中でも英ポンドや、新興国通貨のようなものについては、取引量が少ないことや、特定の事象が為替相場に大きく影響するため、大きく相場が動くこともあり、大きな損失が短期間で発生することも珍しくありません。
新興国通貨など値動きの激しい通貨の取引は避けましょう。
まとめ
本稿では、FXで借金を作ってしまう人の特徴や、借金を作ってしまった場合の対応方法・債務整理の注意点などについてお伝えしました。
FXは大きな利益を上げることができる投資ですが、一方で大きな損失を出すことも珍しくなく、その結果借金をすることも多いです。
借金をした場合には、なるべく早く弁護士・司法書士に債務整理の相談をするようにしましょう。
✅毎月の返済が1社以上or
✅半年以上払っている人は
借金を減らせる可能性があります。
借金を返すのがしんどい方に。
※いくら減らせるか無料・匿名で試せます。
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グリーン司法書士法人・行政書士事務所
\【簡単1分】質問に答えるだけ/
しんどい返済生活から抜け出したいなら
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この記事の監修者 | 山口学 |
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