基礎知識

自転車操業とは?分かりやすく説明!意味や続けた末路・抜け出す方法等解説

借金を返すために、新しく別の業者から借金を借り続ける行為を、自転車操業と言います。借金を止めると返済ができなくなってしまう状態を、こぎ続けないと止まってしまう自転車に例えた表現です。

自転車操業は、いつまでも続けられるわけではありません。借入できる金額には上限がありますし、借り続ければ金利も高くなっていきます。そしていつか借金できなくなった際に待ち受ける、財産を差し押さえられるという末路は避けられません。

自転車操業の危険性を伝えるために、自転車操業の概要や末路、抜け出すための方法についてまとめました。自転車操業を知りたい人はもちろん、自転車操業から抜け出したいと思っている人もぜひ目を通してください。

この記事でわかること
  • 自転車操業とは、借金を返済するために借金を繰り返す状態
  • 自転車操業は企業に対してのみ使われる言葉
  • 自転車操業の末路は、返済ができなくなり差し押さえを受ける
  • 自転車操業を抜け出したいなら、借金の一本化や国からの融資を頼る
  • 自転車操業を抜け出せないなら、債務整理を検討する

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自転車操業とは

自転車操業とは、借金を返すために別の業者から借金を借りている状態を表します。A社の借金を返すためにB社から借金をして、B社の借金はC社から借りて返済する、といった具合です。

言葉の意味合いとしては、四苦八苦や東奔西走などが近いです。いずれも大変な状態を表す言葉なので、決してポジティブな意味合いではないことが分かります。また、経営不振や赤字経営の会社は、自転車操業と同様の状態に陥っていると言えます。

基本的には、会社に対して使われる言葉です。ただし、言葉の綾や分かりやすいたとえとして、個人が借金をし続ける状態を自転車操業と言うこともあります。

  • 自転車操業とは、借金を返すために借金を借り続けること
  • ネガティブな意味の言葉として使われている
  • 会社に対して使うのが正しい使い方

自転車操業の意味

自転車操業の意味は、今ある借金を返済するために別の業者から借金をし続ける状態のことです。借金を返済するためには同じ業者から借りられないので、別の業者に借金をするしかありません。そうやってどんどん新しい業者から借金をしている様子を表しています。

自転車操業は、借金を返せる余裕を持っている人に対して使いません。借金をしないと返済ができない様子が、こぎ続けないと止まってしまう自転車のようであることから、自転車操業と呼ばれるようになりました。

  • 自転車操業の意味は、借金返済のためにほかの業者から借り続けること
  • たくさん借金があっても、返せる余力のある人には使わない
  • やめたくてもやめられない状態を表す言葉でもある

「自転車操業」の使い方

自転車操業という言葉は、借金続きで返済のための借金をやめられない会社に対して使われます。単に借金をたくさんしている会社ではなく、借金をしないと会社の運営ができない状態を表す言葉です。

この言葉が使われる会社は、いずれも経営難に陥っており、借金をやめてしまうと倒産してしまいます。会社を存続させるためには借金をし続けなければいけないからこそ、止まれば倒れてしまう自転車に例えた呼び方をされてしまいます。

  • 返済のための借金をやめられない会社に対して使う言葉
  • 自転車操業の会社は、借金をやめると倒産してしまう

「自転車操業」の言い換え・類語

自転車操業の類義語には、経営不振や資金難、赤字経営などが挙げられます。文字通り会社の経営状態がよくないことを表す言葉であり、極めてネガティブなイメージを持たれる言葉ばかりです。

個人に対しては自転車操業の代わりに、その日暮らしや綱渡り状態、露命を繋ぐなどの言葉で表現します。いずれもかろうじて生活している状態を表しており、余裕のなさがうかがえる言葉が多いです。

  • 類義語は経営不振、資金難、赤字経営など
  • 個人に対して使う場合は、その日暮らし、綱渡り状態、露命を繋ぐなど

「自転車操業」の誤用

自転車操業とは、会社の状態を表す言葉です。個人の家計を表す際には使いません。ただし、ものの例えや分かりやすい表現として、個人に対しても自転車操業と言うケースは多いです。

また、必ずしも借金が多い人に対して使う言葉でもありません。たとえば借金がたくさんあったとしても、返済の充てがあったりすぐに返済できるだけの十分なお金を持っている会社に対して、自転車操業と言うのは誤りです。

あくまでも、「借金を返済するために借金をし続けなければいけない会社」に対してのみ使われる言葉です。

  • 個人には使わない
  • 借金が多いだけでいつでも返せる会社にも使わない

自転車操業の末路はどうなる?

自転車操業は、いつまでも続けられるわけではありません。借りられる金額には上限があるので、いずれは新たに借金ができなくなるからです。借り続けると支払う金利も増えていくため、どんどん借金のハードルが高くなっていきます。

借金ができなければ返済が滞ってしまい、督促や一括返済を迫られます。最終的には裁判になってしまい、強制的に財産や給料を差し押さえられてしまうのが、自転車操業の末路です。

お金を借りようとするあまり、甘い言葉にのせられてヤミ金から借りてしまう人も少なくありません。一度でもヤミ金と接点を持つと、以後ずっと付きまとわれるため、今後の人生にも大きな悪影響をもたらします。

  • 自転車操業は、ずっと続けられない
  • 返済できなければ、強制的に差し押さえられる
  • お金を借りたい一心で、ヤミ金と接点を持ってしまう

借り入れの上限を超えるとそれ以上借りられなくなる

借金には、総量規制と呼ばれる借入金額の上限が定められています。借金に頼りすぎて返しきれないほどの借金をしないために国が定めた制度で、年収のおよそ3分の1が借入上限です。

借入上限を超えてしまう借金をしようとすると、審査に落ちてしまいそれ以上借りられません。借金の状況はすべての金融機関が情報を共有しているため、A社で総量規制限界まで借りてからB社で新しく借りる、といったことは不可能です。

総量規制の対象となるのは、主に貸金業者からの借金です。銀行から借りたローンや、クレジットカードのショッピング枠などは対象になりません。とはいえ、銀行ローンは条件が厳しく、ショッピング枠にも限界があるため、総量規制の上限に達してしまったらまとまったお金を得るのは難しいです。

  • 総量規制とは、借金の上限を年収の3分の1までと定めたもの
  • 賃貸業者を変えても、総量規制以上は借りられない
  • 総量規制の対象は、賃貸業者からの借金

低い金利での借り入れが難しくなり、ますます金利を支払うことになる

借金をする際に発生する金利は、借りる人の信頼度が高いほど低い金利で借りられます。反対に、自転車操業状態で借金まみれの状態では、信頼に欠けると判断され高い金利でしか借りられません。

金利が高くなってしまうと、返済金額が膨れ上がる速度も速くなってしまいます。返済金額が増えすぎて、毎月金利の支払いだけで精いっぱいだという人も少なくありません。

借金の元金が返せなければ、いつまで経っても借金は減らせず、金利もどんどん高くなっていきます。いずれは金利すら支払えなくなってしまい、自転車操業もできなくなってしまいます。

  • 金利は信頼できる人ほど、低く借りられる
  • 借金が増えていくと、次第に高い金利でしか借りられなくなってしまう
  • 借金が増えすぎると、金利を返すので精一杯になってしまう

返済できないまま延滞すると裁判となり給料や財産の差押えとなる

借金を返済できず延滞してしまうと、電話による督促や一括返済を求められるようになっていきます。さらに延滞が続けば、最終的に訴訟を起こされてしまい、強制的な財産の差し押さえに発展するのが自転車操業の末路です。

差し押さえは家や車、財産だけでなく給料の一部も対象です。差し押さえられる対象は自分で選べないため、大切な品や思い出の品などがあっても、問答無用で差し押さえられてしまいます。

家や車がなくなることによって引っ越しや転職を余儀なくされる人も多く、今までよりもさらに生活が大変になってしまうことは間違いありません。自転車操業を続ける人のほとんどが、最終的に財産を差し押さえられてしまうことは頭に入れておくべきです。

  • 返済できず延滞が続くと、強制的に差し押さえられてしまう
  • 差し押さえ対象は、自分で選択できない
  • 家や車を差し押さえられ、生活環境の変更を余儀なくされる

自己破産を含む金事故歴が残り審査に影響する

返済の延滞は金融事故として扱われ、信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆるブラックリスト入りと呼ばれる状態であり、今後何年もクレジットカードの作成や賃貸契約、ローンを組むといった行為ができなくなる可能性が高いです。

借金の延滞なら延滞解消から約5年、自己破産した場合は最長で10年もの間、事故情報が残り続けます。これだけの長期間クレジットカードやローンが使えなければ、人生に及ぼす悪影響は計り知れません。

特に新しく事業を立ち上げたり、家や車を購入したりしようとする場合、お金を借りられないデメリットは非常に大きいです。いずれも自分が持っているお金だけで解決するのは困難なので、あきらめざるを得ない人が大半です。

  • 借金を返せないと、ブラックリスト入りしてしまう
  • 一度ブラックリスト入りすると、5~10年の間クレジットカードやローンが利用できない

ヤミ金など悪徳な業者との関係ができやすくなる

お金を借りられなくなってしまった人が、どうしてもお金を借りたい一心でヤミ金や詐欺業者に引っかかる例は数えきれないほどあります。まっとうな方法ではお金を借りらないため、ヤミ金業者の甘い言葉についのせられてしまうからです。

しかし、一度ヤミ金業者からの借金は法外な利息や悪質な取り立て、家族や友人への催促など多くのリスクを伴います。中にはお金を借りるどころか、逆にお金を奪われる詐欺にあってしまうケースも珍しくありません。

また、一度でもヤミ金業者と接点を持つと、完済後も付きまとわれる可能性が高いため、なかなか関係を断ち切れません。お金を借りられるメリットに対して、リスクがあまりにも釣り合っていないため、どんなに大変でもヤミ金業者や詐欺業者を頼るのはやめるべきです。

  • お金を借りられなくなると、ヤミ金業者などと接点を持ちやすくなる
  • ヤミ金業者は、法外な利息や悪質な取り立てをしてくるためリスクが高すぎる
  • 一度でも利用してしまうと、完済できてもずっと付きまとわれる

自転車操業から抜け出す方法はどうしたらいい?

自転車操業をやめたいなら、新しく借金をし続ける状態をやめなければいけません。複数の借金を一本化したり、高金利の借金が低金利になるように乗り換えるなどして、新しく借りなくてもやっていけるようにすることが大切です。

新しく借りる場合は、消費者金融ではなく国からの融資や公的貸付を利用してください。借りられる条件こそありますが、金利が低かったり返済期間に猶予があったりと、借金に困っている人にとってはありがたい制度です。

どうしても返済ができないほど借金が膨れ上がっている場合は、最後の手段として債務整理を検討してください。弁護士に相談して任意整理や個人再生、自己破産をおこなうことで、これ以上借金に苦しまなくて済みます。

  • 複数の借金を一本化して、新しく借りずに済む努力をする
  • お金を借りる場合は、国からの融資や公的貸付を頼る
  • どうしても返済できないなら、債務整理を検討する

借金の一本化やおまとめ、借り換えができないか相談する

複数社からの借金がある人は、おまとめローンなどを活用して借金を一本化してください(リボ払いをおまとめローンにすると得?)。借金をまとめることで管理が楽になるほか、今よりも金利を下げられる可能性があるからです。

金利が下がれば、毎月の返済金額や残高が増えるペースを減らせるので、少しずつ余裕が生まれます。新しく借金をしなければいつかは完済できるため、返済へのモチベーションが高める点も大きなメリットです。

とにかく今ある借金の金利を引き下げることが大切なので、借金の一本化や乗り換えによって金利を下げられないか相談してみてください。借金をまとめたほうが金融業者にとってのメリットも大きいので、対応してくれる金融業者は多いです。(リボ払いの借り換えしたいなら)

  • 複数の借金を一本化することで、管理が楽になり金利も減らせる可能性がある
  • 金利を下げて新しく借金をしなければ、少しずつ完済に近づける
  • 借金の一本化は、今より金利をもらえるため対応してくれる金融業者も多い

日本政策金融公庫からの融資を受ける

お金を借りるにしても、金融業者から借りてしまっては自転車操業に逆戻りです。そこで、日本政策金融公庫の融資制度を検討してください。特に個人事業主や、小規模企業の事業者などは、恩恵を受けられる可能性が高いです。

日本政策金融公庫は、中小事業者の支援をおこなっており、経済状況や事業内容に応じた融資を受けられます。金利は最大でも2.8%、中には1%を下回る場合もあり、消費者金融と比べるとかなりの低金利で借りられる点が大きなメリットです。

ただし1つ注意点として、過去に延滞などで事故情報が残っていると、融資を受けられません。自転車操業を解消できる非常にお得な融資制度なので、民間の金融会社で延滞してしまう前に、利用を検討してください。

日本政策金融公庫からの融資とは
  • 中小の事業者が対象
  • 業種や融資目的に応じて、50種類以上の中から融資方法を選べる
  • 金利は高くても2.8%と、民間の金融業者よりかなり低い
  • 経営状況によっては無利子で借りられるケースもある
  • 事故情報が残っていると、融資を受けられない

公的貸付・給付を受ける

個人で苦しんでいる人は、国からの公的貸付や給付に頼るのがおすすめです。自分で手続きが必要ですが、消費者金融から借りるよりもはるかに良い条件で融資を受けられます。

具体的には、消費者金融での借金よりも金利が低い、もしくは無利子で借りられる場合が多く、返済期限も長めに設定されています。金利が低ければ余裕をもって返済ができるため、自転車操業をやめるきっかけになる可能性が高いです。

特に利用者が多い制度をいくつか紹介するので、条件に合致する人はぜひ利用を検討してください。

  • 公的貸付は、個人が国から受けられる融資
  • 消費者金融より条件が良く、自転車操業をやめるきっかけになる

総合支援資金

総合支援資金は、失業などを理由に継続的な支援が必要な人を対象にした融資です。毎月一定額を融資してもらえるため、生活を立て直す際に役立ちます。

貸付限度額は単身世帯が月15万円、2人以上の世帯は月20万円です。最大で12か月融資を受けられ、返済期限は6か月の据置期間(利息だけ返済すればいい期間)の後10年以内と、非常に返済猶予が長い点も大きなメリットと言えます。

さらに、連帯保証人がいれば無利子で借りられるため、焦って返済する必要もありません。連帯保証人がいなくても発生する利子は年率1.5%程度と、消費者金融に比べると圧倒的に低いです。

総合支援資金とは
  • 継続的に支援が必要な人を対象にした融資
  • 単身世帯は月15万円、2人以上の世帯は月20万円を最大12か月受け取れる
  • 返済期限は最長10年
  • 連帯保証人がいれば無利子、いなくても年率1.5%
  • 生活保護との併用も可能

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、主に低所得者や高齢者、障害者などを対象にした融資制度です。融資内容には複数の種類があり、前述した総合支援資金も、生活福祉資金貸付制度の中の一つです。

基本的に連帯保証人がいれば無利子で借りられる点が共通しており、いない場合でも年率1.5%と非常に低金利で借りられます。中には連帯保証人がいなくても、無利子で借りられる制度もあります。

一時的にお金が必要になった場合に利用できる緊急小口資金や、教育費として利用できる教育支援金など、お金が必要な理由や用途に応じて異なる融資が受けられる点が特徴です。いずれも消費者金融に比べて条件が良いものばかりなので、利用できるなら積極的に活用してください。

生活福祉資金の一例
  • 総合生活資金:生活を立て直すためのお金を借りられる
  • 福祉資金:生業を営むためや、一時的に必要なお金を借りられる
  • 教育支援資金:低所得者が教育に必要なお金を借りられる
  • 不動産担保型生活資金:不動産を担保にして生活資金を借りられる

母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金とは、主に20歳未満の子供を扶養しているひとり親世帯が受けられる融資制度です。また、パートナーと死別や絶縁した女性(寡婦)も融資を受けられます。

受けられる融資は全部で12種類あり、貸付限度額や返済期限などが異なる点が特徴です。まとまった金額を一括で受け取れるものもあれば、数年に渡って毎月お金を受け取れるものも用意されています。

いずれも連帯保証人がいれば無利子で借りられ、いなくても年率1%という超低金利で借りられることから、消費者金融で借りるよりもメリットが大きいです。該当者は限られますが、条件に当てはまるなら利用しない手はありません。

債務整理を弁護士に相談する

借金の一本化や国からの支援を受けても借金の返済が難しいと感じるなら、債務整理に頼ることも一つの選択肢です。弁護士を通じて債務整理をおこなうことで、借金の利息をカットしたり、借金の免責(支払い義務を免除されること)を得たりできます。

もちろんメリットばかりではありません。債務整理は事故情報として登録されますし、任意整理は相手が応じてくれないことも多いです。自己破産すれば、最低限の財産を残して差し押さえを受けることになってしまいます。

しかし、返済できる見込みのないまま借金をし続けるくらいなら、債務整理によって状況をリセットしたほうが、後々の人生が豊かになる可能性は高いです。借金を返済できる目途がどうやっても立たないなら、最後の手段として債務整理を検討してください。

債務整理の種類
  • 任意整理:債権者と交渉して、利息のカットや返済金額を減額する
  • 個人再生:借金を最大10分の1まで減額し、3~5年での返済を目指す
  • 自己破産:最低限の財産以外が差し押さえられる代わりに、借金の支払い義務を免除してもらう

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この記事の監修者 山口学
事務所 株式会社トイント
法人番号 5120001190113
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