「今月出費が多くて給料日までキツいな・・」というきっかけでこちらのページにたどり着いた方もおられるのではないでしょうか。
「給料の前借りってできるもんなのかな?」と頭に浮かんでも不思議ではありません。
実際、前借りについて検索してみると【違法性がある】とか【給料天引きで毎月やばい】などと、ちょっと穏やかでない言葉が飛び込んできます。
なぜこのように給料の前借りで失敗してしまう例が起きるのかという理由の一つに、給料の「前借り」と「前払い」を正しく理解していなかったことが例として挙げられます。
実は、この2つの言葉の大きな違いはお金の借り方にあります。ここでは、前借りと前払いのルールや注意するべき点などを詳しく解説しています。
この記事を最後まで読んでいただくことで
前借りを検討していたならば、会社とのトラブルや金欠スパイラルなどを未然に防ぐことができるようになるはずです。
- 給料の前借りにはパート・アルバイトより正社員が有利
- 働く者には非常時に給料の前払いを受ける権利がある
- 給料の前借りについての事前チェックは会社規定が必須
- 給料の前借り金額が10万円でも50万円でも支払う年利息は18%
- 給料天引きの返済には会社規定と同意書でトラブル防止になる
給料の前借り・前払いで借り方に違いがある
前借りと前払いの違いをざっくり言うとこうです
前払い:今月働いた分を前倒しで払ってもらうこと
前借り:給料日前に会社からお金を借りること
この借り方の違いから、利息や返済についても意味合いがかなり違ってくるのです。
利息 | 返済義務 | 法律 | 借用書 | |
---|---|---|---|---|
前払い | つかない | 無 | 労働基準法第25条 | 無 |
前借り | つく | 有 | なし・会社規程 | ある方が良い |
上の表にもあるように、法律に定められている項目もあるためそれぞれに注意が必要です。
では、前払いと前借りについてを順番にもっと詳しく解説してきます。
今月働いた賃金を前倒しで払ってもらう前払い
前払いとは今月すでに働いた分だけの給料を、給料日よりも先にもらえるということです。今後働く予定の賃金を前倒しで払ってもらうことはできません。
この時支払われるお金はあなたの働いた労働に対する賃金なので利子などは当然つきません。そして後から返済する必要もありません。
【ただし注意が必要】
法律上、会社が前払いに応じる義務があるのは労働者が非常の場合の費用に充てる時のみです。
使用者は労働者が出産疾病災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない
ちなみにここで言う「非常時」の定義は労基法施行規則第9条に記述があります。
- 出産の時
- 病気の時
- 災害で被災した時
- 結婚した時
- 死亡した時
- やむを得ない理由で1週間以上帰郷する時
つまり
✖️浪費でお金に困っている時
◯非常事態で入用のとき
とは言え、こうした法律上の非常時以外でも給料の前払いをおこなっている会社も少なからずあるのが現実です。こうした点では会社によって対応が異なるので、あなたがもし給料の前払いを望むなら勤め先で申請を受けてもらえるのか聞いてみることをおすすめします。
給料の前払いは
●すでに労働した分の賃金を前倒しで払ってもらうこと
●非常時の場合の労働者は誰でも払ってもらう権利がある
(例外あり:家政婦や従業員が同居の親族のみの場合など
労働基準法の適用外の労働者)
では一方で「前借り」とはどう言う意味合いなのでしょうか。
給料日前に会社からお金を借りるのが前借り
前借りとは労働賃金に関係なく会社からお金を借りることです。
【もっと詳しく】
前払いのようにすでに働いた分の賃金でもなければ、今後の予定労働に対する賃金でもありません。会社からお金を借金するということなので当然、利息が発生し、返済の義務が生じます。借金トラブルを防ぐために借用書なども必要になってくるでしょう。
ただ、給料の前借りを申し出れば、必ず会社は応じてくれると言うわけではありません。前借りに関しては法律で定められていないため、会社によっては受け付けていなかったり、あるいは「社内貸付制度」としてあらかじめ福利厚生の一環として設けていることも多いです。
●労働賃金と関係なく会社から借金すること
●前借りの可否やルールは会社による
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給料の前借りする時のルールは会社の規定・福利厚生によって違いがある
前借りのルールは会社規定や福利厚生の内容によって違います。そのため、もしあなたの勤め先ですでに前借りをしている人がいれば実際の経験談やルールなどを教えてもらうのが最もわかりやすいでしょう。
また、「実際に会社から前借りしていいる人なんて身近にいないよ」という場合も多いのではないでしょうか。
【あらかじめ解消しておきたい疑問】
- 一般的にいくらくらいまで借りれるもの?
- 会社規定はどこで調べられる?
- パートやアルバイトでも借りれる?
- 払う利息ってどのくらい?
- 利息がない前払いの方がたくさん借りれる?
このような気になる「前借りの一般的なルール」を次で順番に深掘りしてみたいと思います。
前借りはいくらまで借りれる?(一般的に)
前借りで借りれるお金は一般的に、10万円から多くて100万円ほどであることが多いです。この金額の差は借入条件によります。
【借入条件の具体例】
- 勤務期間
- 借りるお金の使用目的
- 職位級
など会社の定める項目が条件になります。
「自分の場合、30万円くらいは借りれるかな?」というように具体的に金額を突き詰めていくにはまずお勤め先の会社規定を調べてみる必要があります。
給料前借りをしたい場合は会社規則を調べてみる
そもそも給料前借りをしたくても、そのお金の使用目的によっては借入が認められないという会社規定もあります。
とにもかくにも、この会社規定をしらべてみる必要があるのです。
あなたは会社規定をどこで見られるか知っていますか?日頃はあまり気にしたことがない人も少なくないのではないでしょうか。
会社規定は一般的に、所属する【総務】や【人事】と名のつく部署にあります。また、社内の共有PCで従業員は自由に閲覧できるようになっているパターンもよくあります。わからなければまず上司や同僚に聞いてみましょう。
そもそも、会社規則は働く人が簡単に手に取って閲覧できる場所に置いてあることがルールです。労働基準法第106条に『会社規則は常時各作業場の見やすい場所に掲示し周知することが義務』という旨が明示されています。
【会社に会社規定が無い?】
労働基準法では「常時10人以上の労働者を使用していない使用者は就業規則の作成は義務ではない」としているため例外もあり得ます。とはいえ会社規定の作成は法律でも推奨されていることからトラブルも起きやすいと言えるでしょう。
たくさんの条文が書いてある会社規定で給料前借りについてを調べるコツは【社内貸付金】【従業員貸付制度】【福利厚生】などというキーワードで調べてみることです。
「パートやアルバイトでも借りれるか」も会社規則による
雇用形態の条件面では、一般的には正社員のみが利用できる制度というのがほとんどです。なぜかというと、パートやアルバイトは正社員よりも短期で退職してしまう可能性が高いからです。
ただ多くはありませんが、会社規定によってはパートやアルバイトでも前借りが可能である可能性もあります。
また、規定上は前借りが不可であっても、会社の上長が善意で前借りに応じてくれることもあるかもしれません。もしあなたが上長との関係性に自信があるのならば相談してみるのも手段だと言えます。
給料前借りの利息は、利息制限法による
今記事ではこれまで前借りルールは会社規定によるというお話をしてきましたが、返済に関わる利息については利息制限法をもとに算出されます。
では「前借りした時はどのくらいの利息が付いてしまうんだろう?」という疑問にお答えしてみたいと思います。
- 借りる金額が
- 10万円未満のとき
→年利率20% - 10万円以上100万円未満のとき
→年利率18% - 100万円以上のとき
→年利率15%
上記の年利率は利息制限法で具体的に明示されている通りです。
金銭を目的とする消費貸付家における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該号に定める利率により計算した金額を超えるときはその超過分について無効とする
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分参照:利息制限法 | e-Gov法令検索
つまり、こんな公式が出来上がります
借りる金額 ✖️ 年利率 = 利息額
実際に、1年間で返済するイメージで利息がどのくらいかを計算してみたいと思います。
例えば
もしあなたが30万円を前借りしたとします。
上記の公式に当てはめると
1年間に最大で54,000円を利息として払うことになります。
この30万円の前借りを12ヶ月分割で返済する場合、月々の返済額は
25,000円(元本)
+
4,500円(利息)
=
29,500円となります。
それでは、もしあなたのお勤め先が利息のつく前借りでなく利息のつかない前払いに応じてくれる会社であったならばいくらくらい貸してくれるものなのでしょうか?
次に、前払いでいくら借りれるかについて解説してみたいと思います。
前払い可の会社は何割まで・いくらまで借りれるかは規定で決まっている
もし会社が給料の前払いに応じてくれる場合、
貸してもらえる金額は、労働者がすでに働いた分の未払い賃金のうちの一定額です。
具体的にイメージしてみましょう
例えば
あなたが毎月月末時めで給料日が翌月20日の会社に勤めているとします。
ある月の10日に給料を前払いしてもらいたくなった場合、あなたはすでに労働した1日〜10日の分だけの賃金に対しての一定額をもらうことができるのです。
その一定額の割合が1日2,000円と規定で決まっていたとすれば
2,000円✖️10日=20,000円
20,000円を前払いとして受け取ることができます。
前払いには利息がつかないというメリットもあるが前払い可の会社でも規定によって借入できる額が変わってくる
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給料を前借りした時に天引きでの返済方法には注意が必要
前借りした時のお金の返済方法は一括で返せるのが1番手っ取り早いです。
とはいえ、なかなか一括返済など難しいのが現実です。
「給料天引きされるんだろうな」と考えることが自然だと思います。天引きで返済できれば、毎月の面倒な振込などの手続きが必要ないというメリットがあります。
一方でデメリットもあります。
毎月それなりの額が天引きされることによって、その月の生活費がキツくなってしまうということです。
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「前借りしてもらえたはいいけど、勝手に給料から天引きされて生活が苦しい」
このような事態から守るために労働基準法では原則的に前借り分の天引きを許してはいません。
とはいえ、前借り分の天引きは絶対にできないということでもないのです。きちんと方法があるので安心してください。
それでは「天引きで返済したい」と望む場合、どうすれば良いのでしょうか。
とても注意が必要になってくるので詳しくみていきましょう。
前借り分を給料から天引きすることは原則違法
前借り分を給料から天引きして返済することは、労働基準法第24条の『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を決めて支払わなければならない』という条文に抵触します。
天引き返済が当たり前かのように思っていた人にとっては意外な事実だと言えるでしょう。
会社は給料日より前に従業員にお金を貸し付けているからといって、次の給料で差し引いて勝手に調整することはできません。その場合会社は30万円以下の罰金に課せられる可能性があります。
ただ、実際はお給料からは税金や保険料などいろいろな項目で天引きされています。それは合法なんでしょうか?
給料から天引きできるもの
法律上、給料から天引きが認められているものは
- 税金(所得税・住民税)
- 社会保険料
(健康保険・雇用保険・介護保険・厚生年金保険など) - 財形貯蓄
- 労使協定がある場合で
労働者が当然に支払うべきことが明らかなもの
上記の④について具体的に例を挙げてみます。
- 寮・社宅費
- 持株会自社株購入の拠出金
- 確定拠出年金
- 福利厚生の利用料
- 組合費
<労使協定とは>
事業所の労働者の半数以上からなる組織の代表と会社の取り決めた約束事のこと
ここで、お気づきでしょうか。
天引きが認められるものの項目の中に「前借り分の返済」という記述がありませんでした。
どうしてかというと、前借りしたお金はたとえ労使協定に給料から天引きしても良い旨の規定があったとしても、それだけででは違法となってしまう可能性があるからです。
ではどうすれば法律違反することなく前借りを給料天引きで返済することができるのか次で解説していきます。
給料天引きは、貸す会社と借りる社員の事前の同意書があれば可能
給料天引きで前借り分の返済を可能にするために必要なことは【労使協定】と【貸す会社と借りる社員の事前の同意書】です。
ここで大切なことは、借りる側の社員が合理的な理由で「前借りの返済方法を給料天引きにしてほしい」と希望しているということが同意書の上で第三者でも判断できることです。
ちなみに上記のことは労働基準法に明示されているわけではありません。
ではどうしてこのような同意書が大切だと言えるのかというと、天引きなどによって『給料の全額払いの原則に違反しないとき』が過去の裁判例にあるからです。
労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在するとき
参照:事件番号 昭和44(オ)1073
裁判年月日 昭和48年1月19日
法定名 最高裁判所第二小法廷
民集27巻1号27頁より引用
ただし、このような同意書を作成することができたとしても
「給料の半分が毎月天引きされてしまって生活がキツい!」などという事態にならないよう天引き返済にも金額の上限があることを知っておきましょう。
給料天引きで返済をする場合には上限がある
前借り分を給料天引きで返済したとしても、
そもそもの手取り金額の3/4までは手元に残ることになっています(上限33万円)。
つまり給料天引きで返済できる額は手取り額の1/4までなのです。
どれくらいの金額なのかイメージしてみましょう。
例えば
あなたの給与が30万円だとします。
税金や社会保険料で引かれた金額が6万円だったとき
通常の手取り額は24万円で、これが返済限度額を算出するための基の金額となります。
この場合、
24万円の1/4(=6万円)までが天引き返済できる上限額です。
そして逆に
24万円の3/4(=18万円)が大切な生活費となる手取り額です。
ちなみに、33万円が上限とされているので、最後に手元に残る金額が33万円を超える場合はその超えた分を返済の天引きに充てても違法ではありません。
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この記事の監修者 | 山口学 |
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