個人事業主が法人成りで事業を継続した場合、法人設立の資本金を1,000万円未満にすることで、1期目に課税される法人消費税が免除されます。
法人設立2期目以降も免税を希望する事業主は、法人事業で支払う上半期の給与・賞与等の合計額を1,000万円未満に抑える・1期目上半期までの売上が1,000万円未満という条件をクリアしてください。
法人設立3期目である最大2年間の法人消費税免除を検討するときは、2事業年度前の課税売上が1,000万円未満・1事業年度開始〜6ヶ月の売上または給与・賞与の総額が1,000万円未満という条件を満たせば、免税事業者として法人消費税の節税が実現します。
法人消費税は課税期間の末日の翌日から2か月までに納税するルールとなり、期日に遅れると法人税の追徴課税・青色申告の取り消しなど、今後の法人事業に悪影響を及ぼす深刻なペナルティが課せられるので注意してください。
- 法人消費税は最長2年間は免除可能
- 法人設立1期目の免税条件は資本金1,000万円未満
- 法人設立2期目の免税条件は資本金1,000万円未満・上半期の給与・賞与等の合計額が1,000万円未満
- 法人設立3期目の免税条件は2事業年度前の課税売上1,000万円未満・1事業年度開始〜6ヶ月の売上が1,000万円未満
- 法人消費税の支払いタイミングは事業年度末から2月以内
法人消費税が免除になるのはいつまで?いつから払う?
法人税消費税は事業主が法人設立1期目に資本金1,000万円未満という条件を守れば、1年間の消費税免除を受けることができます。
しかし通常設立2期目以降は課税事業者として、確定申告のタイミングで法人消費税を申告し、課税期間の末日の翌日から2ヶ月までの期間中に納税しなければいけません。
このとき事業主が免税条件に合わせて法人事業計画を進めることで、追加で1年間の法人消費税免除期間を準備することができます。
つまり事業主が免税条件から逆算して法人事業を運営すれば、最大で2年間の法人消費税免除が実現します。
これから詳しく解説するテクニックをうまく活用すれば、免税事業者として大幅な節税対策ができますが、課税事業者として法人消費税を納税し、後から還付申告書を提出する方がトータルで利益になる場合もあります。
最長2年間は条件付きで消費税免除をしてもらえる
法人税の課税金額は一定の期間内の事業内容により税額を算出しますが、この算出期間のことを基準期間といいます。
基準期間のスタートは当期から遡り法人設立の前々事業年度からカウントし、翌年の前年事業年度までを一括りで考えます。
法人で課税される消費税は特定の条件を満たしている場合、最長2年間まで法人消費税の支払い義務を免れることができます。
- 法人で発生する消費税は条件をクリアすれば最長2年間免除される
※法人として起業した事業主に節税として大きなメリットになる
この免除制度は申請すれば誰でも利用できる訳ではなく、細かく指定された条件を満たす法人事業主に限られます。
これから法人として起業を考える事業主や、既に法人を立ち上げた事業主は免税申請要項を確実に押さえ、法人で課税される消費税を出来る限り削減し事業活動に役立てましょう。
法人設立1期目の消費税免除の条件は資本金1,000万円未満
事業主が資本金1,000万円未満で法人を設立した場合、1期目の事業で課税される消費税の免除を受けることができます。
- 法人設立の資本金が1,000万円未満であれば1期目に課税される消費税を免除可能
※法人設立時の出資金額を1,000万円未満に抑えておく
資本金とは株主が準備した事業資金のことを指し、主に起業後の事業運用資金として活用されます。
法人設立時に資本金を1,000万円以上準備して起業してしまうと、行政が規定する要件を満たせず、法人1期目の消費税免除を受けることができません。
資本金が潤沢にあることは法人設立後の事業を安定させるために有効ですが、税金負担を考えると消費税免除が認められる1,000万円未満で、資本金を準備し法人を設立する方がメリットが大きいでしょう。
法人設立2期目の消費税免除の条件
事業主が1期目と同じく2期目以降も消費税免除を希望する場合、まず前提として資本金1,000万円未満であることが必須条件です。
そのうえで3つの免税条件のどれかひとつをクリアしなければ、課税事業者となり法人税を免れることはできません。
ひとつめは期目の2期目の期首時点で1期目設立から6ヶ月間の特定期間の間に、売上が1,000万円を超えていないことが条件です。
設立から高収益を得て売上が1,000万円を超えてしまうと、法人として事業は成功していますが課税事業者として扱われるので注意しましょう。
ふたつめは上半期6カ月間の給与・賞与等の合計金額が、1,000万円未満で支払われていることが条件です。
従業員の給与・賞与が上半期で1,000万円をオーバーする場合は、業務を外部に発注するなどの対策も必要になるでしょう。
三つめは事業主が法人設立のタイミングを意図的にずらし、1期目の事業期間を7カ月以下に抑えることが条件です。
1期目を7カ月以下になるようにずらし基準期間および特定期間をなくすことで、行政が1,000万円という免税基準を判定できず、その結果免税事業者として納税を免れることができます。
売上1,000万円未満(必須)
法人設立した事業主が1期目に続き2期目で法人の消費税免除を受ける場合、2期目の期首時点で1期目上半期までの法人事業の売上が1,000万円未満という条件が追加されます。
- 2期目の消費税免除に特定期間の売上が1,000万円未満が必須条件
※前事業年度スタートから6か月までの期間の売り上げのこと
法人の消費税免除の承認には売上金額でラインが引かれており、2期目の期首時点で法人設立から6ヶ月間の法人事業の売上金額が1,000万円未満の法人が消費税免除を申請できます。
法人事業が順調で会社創立から半年間の間に1,000万円以上の売上金額を計上し、同時に他の条件も満たせない場合は、残念ながら2期目の消費税免除制度を利用することはできません。
前半の6カ月間に支払う給与および賞与等の合計額を1,000万円以下に調整
法人設立から6ヶ月間の売上を意図的に1,000万円未満に抑えることができない法人事業主は、給与および賞与等の金額をコントロールすることで消費税免除の条件をクリアしてください。
- 法人設立から6ヶ月間の給与・賞与等の合計額を1,000万円未満に抑える
※売上1,000万円未満より現実的な消費税免除のクリア条件
法人事業開始から6ヶ月間の従業員の給与・賞与が1,000万円を超えないように逆算し、意図的に合計金額を計算して支給すれば条件を満たせます。
この方法は前述した売上1,000万円未満という条件をクリアできない事業主でも比較的実践しやすい特徴があり、多くの事業主がこの方法で2期目の消費税免税を実現させています。
設立1期目が7カ月以下
設立する法人企業が大規模で前述した2つの条件を満たせない場合、法人設立のタイミングを調整し1期事業期間が7ヶ月以内で申告しましょう。
- 法人設立タイミングを1期事業期間が7ヶ月以内になるように調整し基準期間・特定期間をなくす
※トータルの免税期間が短くなることに注意
この方法のメリットは売上・給与と賞与等の合計額を1,000万円以下に抑えることができない事業主でも、基準期間・特定期間を意図的になくすことで法人消費税の節税を実現できる点です。
しかしデメリットとして1期目から遅れて特定期間がカウントされることで、通常の消費税免除期間より少ない期間しか対象になりません。
そのため法人消費税免除を最長2年間受けることは不可能になるため、あくまで限定的な免税制度の利用に限られることを留意しておきましょう。
会社設立2期目から消費税納税したほうが良いケースもある
法人企業の事業主の節税対策として有効な消費税免除制度ですが、総合的に考えると必ずしも免除がベストな選択とは限らないこともあります。
2期目以降に法人事業で利益として計上された金額に含まれる消費税額と、法人事業で損益として計上した金額に含まれる消費税額を比較し、後者が多い場合は差額分が還付されます。
- 法人消費税免除制度を受けるより控除不足還付税額を受ける方が利益になるケースもある
※トータルで考えると法人消費税を納税した方が事業主のメリットになる
支払った消費税の一部が事業主に還元されるため、場合によっては敢えて消費税免除制度の条件を満たすために、事業内容を縮小する必要がない事業主もいます。
法人消費税免除を優先するあまり、本業の法人事業の充実・拡大を大きく制限してしまうことは、利益追求の本質を見誤る本末転倒にもなりかねません。
法人設立3期目以降の消費税免除条件
事業主が法人設立から3年目以降の事業継続で、課税される法人消費税の免除を受けるには、過去2年間の事業内容が2つの免税条件を満たさなければいけません。
- 法人設立3期目以降の消費税免除条件
①2事業年度前の課税売上が1,000万円未満である
②1事業年度開始〜6ヶ月の売上・給与・賞与の総額が1,000万円未満
※①は必須だが②はどちらかを満たしていればよい
①は事業主が法人消費税の免除を受けるためには必ず必要な条件ですが、②については売上高1,000万円未満・給与・賞与の総額1,000万円未満という、どちらか一方の免税条件を満たしていれば納税義務は発生しません。
そのため多くの事業主は②の免除条件はどちらか実現しやすい方を選び、条件に当てはまるような法人事業内容を実践しています。
法人消費税免税期間を延ばすコツ
法人消費税免税期間をの延長させるには、事業主が法人事業を上手くコントロールし、免税条件に適合させることが必須です。
法人事業主はこれからお伝えする3つの延長テクニックを活用し、事業で発生する法人消費税を削減してください。
ひとつめは法人事業の資本金の増額タイミングを意図的に2期目の期首以降にずらし、法人消費税の課税を免れるという方法です。
2期目の期首までに資本金を1,000万円未満で確定させ、免税事業者となった後に資本金を増やせば、法人消費税の課税を1年間延ばすことができます。
ふたつめは上半期までの売上金額を1,000万円未満に抑え、法人消費税で必要な免税条件をクリアさせる方法です。
法人事業計画を綿密に進め売上予想と実績をコントロールし、売上が1,000万円を超える場合は下半期まで事業をずらしましょう。
三つめは上半期までに従業員に支払う給与・賞与のトータルを、1,000万円未満になるように減額して支払う方法です。
現実的な減額方法として業務を業務委託し、給料ではなく外注費として計上するというテクニックが有効です。
資本金の増資をするなら2期目の期首以降にずらす
法人税設立の1期目から資本金の増額を検討していても、すぐに資本金を増額して事業拡大するのではなく、2期目の期首以降まで増資を我慢することをおすすめします。
- 資本金の増額を2期目の期首以降に実施することで法人消費税免税期間を1年延長できる
※免税事業者として免税が確定してから増資する
法人事業の増額タイミングは希望時期とズレますが、1期目から2期期首までの法人消費税免除が確定してから資本金を増額することで、法人消費税の課税を1年遅らせることができます。
法人事業拡大のため資本金が1,000万円を超えてしまうと、法人消費税免除の条件をクリアできず課税事業者として税金を申告しなければいけません。
法人消費税の節税対策として免税制度を受ける場合は、資本金を増やすタイミングに注意しましょう。
売り上げが上がる時期が予想できるなら下半期にずらす
法人消費税を1期目以降も継続して免税する場合、前述の通り2期目の期首から上半期までの法人事業売上が1,000万円未満でなければいけません。
そのため法人事業主は売上金額を予想し、上半期までの売上金額を1,000万円未満にするような事業調整が求められます。
- 上半期までの売上金額が1,000万円を超える場合は下半期にずらす
※事業計画を調整し意図的に売上金額を抑える
法人化してすぐに売上が伸びることは事業主にとって喜ばしいことですが、2期目の期首から上半期までの期間に売上が1,000万円を超えてしまうと、免税事業者ではなく課税事業者として法人消費税の納税義務が発生します。
法人事業を上半期・下半期に分け細かく事業計画を進める、事業主としての手腕が問われる法人消費税の節税対策が求められます。
給与・賞与の支払いを上半期に1,000万円未満で調整する、業務委託や外注払いにする
法人設立3期目以降の法人消費税免税を狙うには、上半期までに従業員に支払う給与・賞与の総額を1,000万円未満に抑えることが必須条件です。
- 上半期の給与・賞与の支払いを業務委託や外注払いなどで1,000万円未満にする
従業員の業務の一部を業務委託・外注に置き換える
具体的には従業員に支払う給与・賞与を減額する・賞与の回数を減らすなどの対策が有効ですが、労働契約書に違反するような強制的な減額は現実的ではありません。
そこで従業員が担う事業の一部を業務委託し、外注費として調整することで給与・賞与のトータル金額を1,000万円未満に抑えるという方法が有効です。
この法人消費税免税は結果的に従業員の収入が減額されるので、従業員の理解や労使協定でトラブルにならない給与・賞与の削減が求められます。
法人消費税の基本知識
法人消費税とは標準税率10%・軽減税率8%の2種類の消費税で算出し、国税・地方消費税としていくら納税したかを申告するのがルールです。
個人事業主が事業を拡大させる過程で法人化・法人成りで事業を継続した場合、免税事業者・課税事業者の2つの選択肢から法人消費税の手続きを進めます。
法人事業で発生する消費税の免税を希望する場合は、免税条件をクリアし免税事業者として確定申告をおこないましょう。
消費税を納税し控除不足還付税額を希望する法人事業主は、確定申告と同時に還付申告書を提出し法人消費税の還付を受けましょう。
法人消費税の申告は事業年度末から2月以内に申告しなければならず、期間内に申告しない場合は法人税の追徴課税や青色申告の取り消しなど多岐に渡る深刻なペナルティが課せられます。
法人消費税とは
事業主が支払う法人消費税は標準税率10%・軽減税率8%の2種類の消費税に分類されます。
個人・法人の経済活動で発生する消費税は、厳密には国税・地方消費税の2種類でそれぞれ徴収されています。
標準税率10%は消費税率7.8%・地方消費税率2.2%、軽減税率8%は消費税率6.24%、地方消費税率1.76%という内訳になります。
- 法人消費税は標準税率10%・軽減税率8%で事業主に課税される消費税
※帳簿にそれぞれ項目ごとに分類し2種類で計算し合計の消費税を計上する
ここで重要なポイントになるのが、事業主が支払う消費税はすべて標準税率10%で算出するのではなく、特定の項目を軽減税率として8%に抑え消費税を計算する点です。
軽減税率の対象となる品目は酒類・外食以外の飲食料品・新聞となり、事業主は複数税率に対応したレジ導入・売上げ・仕入れ税率を標準税・軽減税で区分して、帳簿に記帳しなければいけません。
法人・法人成りとは
一般的に個人事業主が株式会社などの組織化して事業を進めることを法人化といいます。
法人化は法人成りとも呼ばれており、名前は違いますがどちらも個人規模から、より大きな会社として事業が拡大したことを意味します。
- 個人事業主が会社を設立し事業拡大することを法人・法人成りという
※一般的に株式会社・合同会社として組織化することを意味する
いわゆる法人と呼ばれる会社は多くありますが、厳密にいえば法人と法人化・法人成りは区別されています。
個人事業主が過去の事業を辞め新規事業として会社を設立した場合は法人、個人事業主が継続して事業拡大として会社を設立した場合は法人化・法人成りと考えればわかりやすいでしょう。
法人成りで会社を設立すると原則として個人事業主の資産・負債を、法人会社にすべて引き継ぐことになります。
法人成りのメリット
法人成りのメリットは人員・事業内容拡大予定の事業主が、法人化の時点で資金調達や従業員を雇用をしなくても、資本金1円から株式会社設立・代表取締役1人以上で個人事業を法人化できる点です。
- 法人成りで個人事業を継続すると資本金1円・代表取締役1人以上の条件で法人化が実現する
※実質事業主1人だけで個人事業を法人化できる
過去の法人成りには最低資本金規制が規定する最低資本金300万円・1000万円の条件を満たさなければ個人事業主が法人化することは不可能でした。
また取締役3人+監査役1人という人員を確保できない場合も、個人事業を引き継ぎ法人化できませんでした。
現在の制度では上記2点の規制が緩和されており、個人事業主が自身の事業を法人成りを実現できる環境が整備されています。
免税事業者・課税事業者とは
法人税には大きく免税事業者・課税事業者の2種類の事業主に分類して消費税を考えます。
- 免税事業者は法人税の税金を免除された事業者・課税事業者は法人税の納税義務を負う事業者
※法人事業主の納税義務は条件を満たすことで免除される
簡単に説明すると国から納税を許されている事業主を免税事業者、国から納税を命じられている事業主を課税事業者といいます。
免税事業者・課税事業者の線引きは前述の資本金1,000万円未満・売上1,000万円未満・給与と賞与等の合計額1,000万円未満という条件で判断されます。
当然法人事業主はできる限り納税する金額を抑えたいと考えるため、通常は法人消費税の免税事業者になった方がメリットが大きいはずです。
しかし課税事業者には消費税の還付制度を申請できるため、トータルで税金の節税を考えたとき、必ずしも免税事業者の方が得をするとは限りません。
法人消費税の支払い時期
法人消費税は消費税・地方消費税共に、課税期間の末日の翌日から2か月以内の納税が義務付けられています。
- 法人消費税は事業年度末から2月以内に申告して支払う
※一般的な法人事業主は5月31日までに法人消費税を納税する
確定申告・納付
個人事業者は翌年の3月末日までに、法人は課税期間の末日の翌日から2か月以内に、消費税と地方消費税を併せて所轄税務署に申告・納付します。
(引用:消費税のしくみ|国税庁)
このとき課税事業者として控除不足還付税額制度を希望する場合、還付申告書を提出すれば法人事業で発生する、売上・支払いの法人税の差額を受け取ることができます。
法人事業主が2か月以内の納税申告をしなければ、法人税の追徴課税・無申告加算税・重加算税・青色申告の取り消しなど、多くの金銭的負担の発生と、社会的な信用失墜という重いペナルティが課せられるため、必ず期日までに法人消費税の申告を完了させてください。
銀行カードローン | 消費者金融カードローン | |
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即日融資 | ? | 〇 |
利息 | 年1.5%~14.5% | 年3.0%~18.0% |
無利息期間 | ? | 〇 |
100万円を金利15%で借りて12回で返済する | ||
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毎月91,000円 | 利息82,240円 | 総額1,082,240円 |
100万円を金利15%で借りて24回で返済する | ||
毎月49,000円 | 利息161,546円 | 総額1,161,546円 |
100万円を金利15%で借りて36回で返済する | ||
毎月35,000円 | 利息244,653円 | 総額1,244,653円 |
この記事の監修公認会計士・税理士 |
辻 哲弥 |
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事務所名 | ACLEAN会計事務所 |
資格 | 公認会計士(登録番号:42636)、税理士(登録番号:149486) |
備考 | 記事監修 |
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